この頃、僕は読書を改めてし始めた。
こんな病気になってしまって、できる事が限られてしまった今、しょうがなく始めた読書だった。
読み初めても、読書を趣味とする人の気持ちはわからなかった。
一回読んでも、内容が難しく感じる。理解に苦しむ。一度に読み進めるページ数は、常人の半分にも満たなかったろう。
だが、浪費する時間は無駄にあった。
リハビリを終えて家に帰っても、特にやりたい事もない。
だったら、読書でもするか。
同じ本を何回読んでも頭に入ってこない。
ある時、"100冊の本を1回読むのより、1冊の本を100回読む方がためになる"との言葉をどこかで見た。
これは啓蒙か、と思った。
1冊の本を繰り返し読むのは厳しいが、僕には時間的に余裕がある。
わからなければ、何回も読み直せばいいんだ、時間はたっぷりある。
一休さんのように閃いた僕は、同じ本を何度も読み返し始めた。
…何も変わらなかったが、"趣味は読書"の生活は続けた。

