障害者職業能力開発校。

病気をして三年ほど立った頃、僕はそこを受験して、受かって、春から"訓練校"の生徒の一人として通うことになった。

実はその前年も受けて落ちて、次の年も受けに来たので、おそらく試験官の温情が関与しているんじゃないか、とは穿った見方か。

この訓練校は六つの科に別れており、そこの一般事務科に僕は入ったのだが、一番人数が多いとされるその一般事務でも、10人前後だった。

だが、身体に障害を負った者はもう一人と僕のみだった。あとはみんな精神的な障害を負った人。

どういった障害をもった人たちなのか、深く考えないまま授業に入った。


そこで二つ感じたことがある。


"やっぱ普通に話せるっていいな"


という羨望が一つ。


精神的な障害で周りから奇異の視線を受けるのは聞いた事がある。だがこういう障害者が集う訓練校では『あの人はこんな障害で苦しんでいるが、前に進んでるんだ。自分も頑張ろう』と相手を自分と同等のラインで見ることが出来る。
一般人とでは築きにくい人間関係も、ここでは構築しやすい。

もちろん僕も同じ障害者として入校し、皆の会話についていこうとした。

…だが、そこで交わされる会話は、一般人との差異は全く感じられず、僕は混乱した。