自分の伝えたい意図を、完璧に相手に伝える。
全て自分の思う通りに伝わったとの実感は得られず、逆に伝えることの難しさの締感を得る。
人の得手不得手によるが、伝えたいことが長ければ長いほど、その難易度は増す。
…ただ、単純な事を伝えるだけなら、難しくもないはず。
至極簡単な会話のやり取りが、人と人の間を繋げている。
元来人は、単純な言葉のやり取りのみで生活している。
人とのコミュニケーションは、簡単な会話だけで成り立っている。
…その"簡単な会話"、が。
これが、僕には難敵と化している。
例えば慣れていない人と話すとき、"こんにちは、今日は寒いですね"、又は"暑いですね"。こういう成り立ちがあるとする。
ここから先へ進めなくなってしまった。
元々会話をするとき何を話してたっけ?どういう展開に持っていってたっけ?
頭の中でごちゃごちゃ引出しをかき回してる内に、震えそうになってくる。震えを見られるのが、『自分は障害者だ』と無言の象徴をしているように感じられ、それが嫌で自分からその場を去る。
相手としても、僕に言語障害があることはすぐにわかり、話したい→切り上げたいに変わってるだろう、と思い込む。
僕の勝手な思い込みだが、それは心の奥深くまで入り込み、中に居座る。そして辞去する様子も見せない。
要するに"自分から会話し、続ける"ことが難しくなってしまったのだ。

