ちゃんと礼も忘れないのも、中のモットーの一つだと思う。拓人が中を見切れない理由の一つでもある。
「…もちろん。よろしく」
返答しつつ、カツにパクついた。
…ジューシー!
この味は、学生の胃袋を掴んで離さない、学食の一大メニューの一つだと僕は思う。
どこの豚さんかは知らないが、熱され、揚げられたその姿に、まず驚愕し、その後感嘆する。拓人ら人間は"食"とは切っても切り離せない関係であるのだ。衣食住は生活していく基礎だが、拓人はその中でも"食"には最大の敬意を払っている。着るもの住むところも重要だが、なんといっても──
「"質"だよな、やっぱ」
ケータイに目を落としながら中が言う。思考をぶった切られた拓人は咀嚼を止めて聞いた。

