この震えは医者に処方された薬で少しは抑える事が出来た。

いつもはすぐ震えていたコンビニのレジで会計する時も、震える回数が減っていったのは、薬のおかげか身体が治ってきたから(そんな思考は全くなかったが)なのか判別付かない。
しかし、薬がある事は僕に安心感をもたらせてくれたのは確実で、コンビニ以降訪れる所でも大活躍してくれた。

だが、この薬は根本的な解決には至っていなかった。

この薬は元々けいれん、てんかんの症状のある人に処方されるもので、僕の震えはこの症状とは違っていた。

てんかんの主な症状としては、けいれんや意識障害などの発作があげられる。元々『けいれん』はてんかんの一つらしいが、「動きが止まりボーッとする」「手足の一部をもぞもぞさせる」といった比較的軽いものから、「突然手足が突っ張る」「全身を震わせる」「バタンと倒れて体を激しく硬直させる」という重いものまで様々だ。

だが、僕の震えはてんかんとは似て非なるものだった。

身体に凄い震えがあるが、その時の感情は『あぁまた来た』との締観のみ。もちろん時と場合にはよるが、それによる意識の混濁はなかった。身体も硬直したが、それは麻痺している右側のみで、左半身はいつも通り。
周りの目を気にして『早く止まってくれないかな』と思うのが常だった。