店員さんのその言葉により、カチッとスイッチが入ったように、僕は震え出した。
店員さんも、後ろの客も、驚いただろう。急に震え出す姿は『障害者』を強く印象付ける。
しかし、そんな他人の顔を見る余裕はなかった。とにかく震え出してしまったのだから、早く店から出なければ、という考えのみが頭を支配する。
普通に商品をレジで精算し、普通に金を渡しておつりを受け取り、普通に店を出ていけば、こんな心配は無用だった。
だが、元来緊張しやすい僕には無理だった。
緊張しぃが、こんなに大敵になるとは思わなかった。
今まで普通に訪れていたコンビニ。
…"普通"ってどんなだっけ?そんな気持ちが渦巻く。
「…ありがとうございましたー」
なんとか左手で、買ったものを提げ、心配そうな視線を背に感じながら、退店していく僕。
震えながら車を開け、運転席に座り、ドアを閉じても、まだ震えは治まらない。
そんな中、さっきの様子が頭を駆け巡る。
…どうせ
──なにあいつ震えてんだ?気持ち悪っ──
──障害者は大変だねーウチは関係なくてよかったー──
…的な事、皆考えてんだろっ!
震え始めると、典型的な被害妄想を抱える事しかできない僕。震えたまま左手で車のエンジンをかけ、ギアをドライブに入れ、その妄想から逃げるように車を発進させた。

