"身体が震える"を体感することはある。

"──大事な試合の前。大勢の人の期待を背負う私は、トイレに一人籠る。期待が大きければ大きい程、武者震いする──"

"──試験を明日に控えた僕。大丈夫、しっかり勉強してきたのだから…大丈夫大丈夫…そう思いながらも緊張で震える──"

どんな理由にしても、"震え"を感じる事は各人各様にあるだろう。

大学生までの自分も、緊張しやすい僕は、震えを感じた事もそれなりにあった。それは自然な現象で、特別な感情を抱く事もなかった。


だが、病気をしてから。

僕は"震え"に怒りを抱いていた。


──それは、いつくるのか、全く予測できないまま、突然くる。

緊張もあるのだろうが、緊張する場面を越えても、まだ震える事がある。

原因不明の"震え"が、僕に疑問と怒りをもたらせた。

いや、原因はおそらくこの病気にある。この病気は震えも誘発するのだろう。足りない頭では、どんな理不尽な事もそれで完結になる。

震えが初めて僕に怒りをもたらせたのは、僕が外に出てみるようになってからだ。