「…これ…」
「ありがとね~拓人君!」


受け取る由衣の純粋な眼差しが、痛い。


「空けて良い?」


無言で頷く拓人。その無言の中には言葉にならない様々な葛藤があった。


「…わぁ…カープの、鯉人?」


包装紙を解くと現れた、"C"の野球帽にバットを構えた少年。


「お菓子?なのかな、これ」


目を丸くする由衣に、謝罪したい気持ちがわき上がってきた。


「ごめん!違うんだ!本当はもっといいの選んでたんだけどそれ友達が見てて冷やかしてきたから慌てて違うの取って…」


拓人の、空気に流されそうなほどの虚しい言い訳が、素直に流されずその場に居座った。