彼女が楽しそうな瞳を向ける先では、サラリーマンが乱闘騒ぎを起こしていた。

「平和ね。」

そう漏らした彼女に、思わず、ツッコむ。

「どこが!?変な女だな。」

「変でも何でも、今日、奢んのは、冬山だからね。忘れないでね。今日は、飲むぞ〜ってね。」

夏川が、グイィーッと、背筋を伸ばす。

その瞬間、俺は、極めて重要な事を、思い出した。

ひょっとすると、教科書の太文字より、重要度が高いかもしれない。