夏川は、カウンターに頬杖をつき、表情に物憂げな陰りをつくっていた。

「もう、何もかもが嫌になっちゃうわね〜。」

……どうやら、エセOL(〝仕事上がり〟オプション付き)を、振舞っているらしい。

「怖いくらい、能天気な女だな。」

俺の嫌味に、夏川は、長く伸ばした黒髪を、さも鬱陶しげに掻き上げ、その陰から、妖艶な笑みを覗かせた。

〝大切なのは、雰囲気でしょう?それから、私が楽しいってこと?〟

夏川の真っ黒な眸に魅せられた。