「話したいことがある。」

私は椅子に座り、出されたコーヒーに口をつけるとまっすぐに母親を見た。

そして、誰にも信じてもらえないような話をする。

「えっと……昨日学校で屋上から飛び降りた人がいてね。距離も離れてて高さもあったのに、…………助けたの。」

なぜか、心臓の音が全身に重く響いた。

「助けれる、って思ったの…………。」

そっと母の顔を伺うと、母は目を閉じてふぅ……と息をはいた。

 「場所を移しましょう。」

母の真剣な目に私はそっと頷いた。