永遠dream

    ガチャ――――

私はレイさんを部屋に招き入れる。

「……よくわかったね。私が襲われてるって。」

 「…………あぁ。」

返事はしたものの、話は全然頭に入っていないようだった。
さっきから、ずっと何かを思いつめているようだ。

表情が暗い。
まぁ、こんな事があって笑っていたらそっちの方がおかしいんだけど。

…………私のせいだ。

私のせいで何かを思い出したのだろう。
何か辛い思い出を……。
暗い顔のまま会話が続く。

「なんでわかったの?」

 「……萌々の匂いがしたから。」

私の匂い…………?

私はいそいで匂いを嗅いだ。
でも、自分の匂いなんかわからない。

 「違う、萌々の血の匂いだ。」

あ…………肩の……。

私は自分の肩を見た。
制服の白シャツがそこだけ赤く染まっている。

さっきの出来事を反芻し、改めて恐怖を感じる。

 「ヒトよりも鼻がいいんだ。」

レイさんはそう付け加えた。

沈黙が続く。

最初にその沈黙を破ったのはレイさんだった。

 「なんで、こんな遅くになったんだよ……!」

押し殺した声。
私は一瞬息が詰まった。

え…………?

いつの間にかその言葉には感情がこもっていた。
それに驚き彼を見ると、少しだけ目が合った。
でも彼は、口ごもってすぐにそっぽを向いてしまう。

あぁ、この人は心配なんだ。
心配してくれてるんだ。

そして…………

怖いんだろうな。
何かを失うのが。

私は彼の近くに寄っていった。
ヴァンパイアの肌だって、ちゃんと温かい。

「…………大丈夫……大丈夫だよ。」

そっと肩に手をまわして呟いた。

「私は……ここにいるから。」

レイさんはようやく肩の力が抜けたようだった。
彼の手が私の手にそっと触れた。


 「肩出して?」

そう言うとレイさんは、私の血が出てる方の肩を指さした。

「え…………うん。」

私が言われるがままに肩を出すと、彼は私の傷に手を当てた。
そして力を込める。

「…………っ……!」

 「ごめん、ちょっと我慢して。」

 「……終わったよ。」
しばらくの間私に触れていた手を離し、レイさんが言った。

…………?

私は肩にそっと手をあてる。

「治ってる…………。ありがとう。」

 「萌々の体に傷が残ったら大変だからな。」

彼が、そう言って笑った。


優しい笑顔だった。