「もしもし萌々?・・・知りたかったことは聞けたかしら?」

「お母さん・・・」


話を聞いてから5日ほどたった昼下がり、お母さんから電話が掛かってきた。

私はまだ父の話を聞いたときの気持ちを消化しきれずレイから伝えられた真実を感情のままに話した。

「萌々、貴女・・・『翔は、彼はただ、愛情を知らずに育ったさみしい人。もし誰かが・・・私があの人を愛する事が出来たならこうはならなかったかもしれない。彼は・・・悪くない。』そう考えることは無かったの?」

「・・・・・・」

「・・・そう・・・。貴女の心はもう、そちら側にあるのね・・・・・・。」

「・・・・・・お母さ」

「萌々。お母さんが愛しているのは萌々よ。だから貴女がどちら側についても私の心はあなたの味方だわ。私が生きている限りは萌々の幸せは奪わせない。根拠はなくても覚悟は出来てる。たとえ傷ついても・・・・・・傷つけても。」

「・・・・・・!!」

・・・傷・・・つけても・・・・・・

その言葉は私の心にストンと落ちた。

やっと、道が開けた気がした。

私が傷つき、相手を傷つける覚悟。

そんな覚悟をしてでも一緒にいたいという思い。

・・・私のしていたことはただの逃げだった。

レイの為と言いながら結局は自分の正義にすがりついて自分の為だけに自分が正しいと思うことをしようとしていただけだった。

何が正しいかなんてわからないくせに。


「・・・お母さん・・・ありがとう・・・・・・」