家に入り椅子に座ると、母がコーヒーを出してくれた。

そして母も私の目の前に腰を下ろす。

2人、無言でコーヒーをすする。

いつ話し始めるのだろうか。
それとも私から聞くべきなのか。

平静を装いながら考えるものの、自分から話を持ち出す勇気はなかった。

しばらくして、母はそっと私を見た。

それを合図に姿勢を正す。

母は珍しく緊張しているようだった。

ゆっくりと口を開く。

「お母さんの話を聞いてもらっていいかしら。そして萌々の、本当のお父さんの話を。」


私は息を飲んだ。