車の中は静かだった。

誰かが話を始めてもぎこちなく終わる。

お互いに何をいえばいいのかわからなかった。

大通りを通ると、30分もたたないうちに空港近くの家に着いた。

「萌々、今日はうちで泊まるわよね?」

車から降りるとき、母が言う。

「・・・・・・うん。」

あくまでも提案だったけれど、その言葉は私に有無を言わせなかった。

「あなた達は・・・今日はお帰りになってくださる?」

母は今度はレイたちに向かって言った。

「また近々お伺いさせていただきます。」

レイたちは心配そうに私を見た。

ほんと・・・人の心配ばっかり・・・・・・

私は大丈夫の意を込めて微笑んだ。

「はい・・・。」

 2人はようやく納得して返事をする。

「じゃーな。」

そう言うとレイはいつもみたく笑う。

「・・・レイ・・・・・・」

私たちに背を向けようとしたレイに気がついたら声をかけていた。

「・・・・・・スピネル・レイ・・・?」

しかし、驚いたのは母だった。

「・・・知ってるの?」

「まあね・・・」

母はゆっくり目を閉じて呟いた。


「世界は狭いものね・・・。」