まずは人間側の問題提起だ。

「日本ではヴァンパイアによる事件の件数が年々増えています。事件発生時、同族の後始末はしているようですが血の抜かれた人間の後始末をするのは私達です。噛み跡が残されている場合もあり、隠蔽工作に手間がかかります。・・・・・・とても迷惑しています。以上です。」

迷惑って、そんな言い方・・・

それに今発表した女性のヴァンパイア達に向けた怪訝そうな顔が不愉快だった。

けれど私も少しは置かれてる状況を把握しているつもりだ。
だから表情に出さないように努めた。

そしてここから反論が始まる。

「それは両種の数が増えていることもあり仕方ないのでは?それに罪を犯した者の中には血液ドリンクの味に不満があったことが理由だと言う者が多くおります。そこを改善してくだされば事件の件数も減るかと。」

「困りますねぇ。そう文句が多いと。血液ドリンクをつくるのにも金がかかるのですよ。」

「・・・そうですか。ではこちらで犯罪の件数を減らす努力は致します。ですが、どうかご期待なさらずに。」

こうして心にもやが残る中、この話は終わった。

それからいくつか人間側が問題提起をしては自分の有利になるように話を進めることを繰り返していた。

初めて、人間の本質を見た。

そして、それを堂々と眺める義明さん。
私にはこの人と同じ血が流れている。


自分の体に強い嫌悪感を覚えた。