それから明るい道を歩いて30分。

クロユリ本部の裏口の近くについた。
私たちが入ることになっているその裏口は、基本的にはヴァンパイア専用で木がたくさんあって影も多い。
そして真っ黒で大きく重そうな扉と、綺麗に並ぶハンター達の姿がせっかく温まった指先を冷たくした。

ここに、行くんだ。

・・・・・・怖い。

なんでか、そういう感情がある。
帰りたい、とは思わないようにしていた。
それを思ってしまうと、気持ちが大きくなって言葉にしてしまうかもしれない。
それをレイが聞いていたら今からでも引き返させるだろう。
そしたら私は変われない。

もう、甘えたくはないんだ。

 「萌々。」

背後から聞こえたいつもの声にドキリとした。

私の心、バレてない・・・よね?

そっと顔を覗くと、レイは私を見ていなかった。
目の前のことに集中しているようだ。
だからバレてないということはすぐにわかった。

でも・・・・・・

安心と寂しさで少し複雑だった。