共に生まれた命は、いつしか陰と陽に分かれた。

陰はヴァンパイア、陽は人間。

それでも種族という垣根を越えてお互いにお互いを思いやり、しばらくは穏やかな生活を送っていた。

しかし、世代が変わっていく事に人間はだんだんと欲を出すようになった。

科学が進歩し人間の脳が優れるほどに、あの頃の自然を大切にする人間の先祖の影は薄れていった。

やがて周りのもの全てを自分たちの所有物とみなすようになった。

花も、木も、大地までも。

陽が大きくなると均衡が保てず、世界の秩序は乱れる。

そうして陰と陽、二つの世界は対立した。

 「これは必然なんだよ。」


レイは最後にそう、付け加えた。