森に入る。

ここを30分ほど歩くとレイが前住んでいた家があるらしい。

  少し歩くと、街の街灯も遠のき視界は闇に包まれた。

けれども誰もいない、何も見えない森を、レイはまっすぐに進んでいく。

…………怖くなった。

レイの底知れない孤独が、この闇に滲み出ているようで…………

前だけを見る横顔が切なくて、私は少し冷たいレイの手をぎゅっと握った。


  「ついたぞ。」

そう言われて前を見ると、一部だけ月明かりに照らされたところがある。

スポットライトみたいな淡い光は四角いコンクリートの小屋を映し出していた。

レイがドアらしきものに手をかざすとその一部分だけがすっと消えた。

このごろはこんなありえない光景にもなれてしまった私がいた。