私が見るかぎり、疑わしい点はなにひとつない。

「こういう紙ほど信用出来ないものはないよ。」

「全て自分たちの都合のいいように変えられるからな。」

こういうのは変えちゃいけないものなんじゃないの?

「おかしいんじゃ…………」

「あぁ。人間に対してこれをやると詐欺になる。だが、俺らはヴァンパイアだ。そこに人間のルールなんて存在しない。」

「クロユリの奴らは俺らのことを虫けらのように思っているさ。」

これは、あっていいことなのか。

いや……

「そんなの…………」

「“間違ってる”か?」

私はレイにいとも簡単に思っていることを当てられてしまった。

「…………そういう世界だ。今から少しずつでいいから慣れていけ。」

レイはそれだけ言って私の頭を慰めるように撫でた。

慣れろって言われても…………

私は大人しく頭を撫でられながらも、不満を隠せないでいた。