アパートに着くと、レイは管理人室の前で足を止めた。

そして窓をノックする。

 「おいセオ、出てこい。」

「おう！ニーチャンとネーチャン、どうした？」

 「とぼけるな。用件は昨日話しただろ。」

「…………うん。」

そう言うと、管理人さんはそっと頬に触れるなり口元を覆っていた髭を剥がした。

え…………つけ髭…………！？

そのまま変わったサングラスと変な柄の帽子も外す。

毛先にかけて銀から金に変わる髪。

銀と金の間の色をした瞳。

そしてその、美しい容貌。

あまりの衝撃に固まっていると、管理人室から彼が出てくる。

…………スタイルもいい。

彼は私の前で跪くと私の左手をとる。

「改めまして、空木 萌々チャン？僕はユーフォルビア・セオ。」

そう言って私の手にそっと口づけを落とした。

その無駄のない動きに感心していると、セオさんの顔が上がる。

そして再び目が合う。

「僕は仲良くしたいと思ってるよ。」

セオさんはそう言って口元に笑みを浮かべた。


けれど私は、その射抜くような瞳に言葉を失った。