家に着き、久しぶりに一緒に部屋に入った。

けれど素直に喜べないのは、さっきのことがあったせいだろうか。

私はこれから訪れる未来にただならぬ不安を抱きながらそれでも前を向く覚悟を決めた。

「レイ、サミットってなに?」

 「サミットは……簡単に言えばクロユリとヴァンパイアとの大規模な会議だ。だが、招待状は何度か貰ったことがあるが行ったことはないから詳しい説明は出来ない。」

レイさんもわからないんだ…………

「どうして行かなかったの?」

 「クロユリに顔がバレることは俺達にとってデメリットでしかないからな。…………でも今回は行こうと思う。お前のおじいさんに会うチャンスでもあるしな。…………でも、お前は行くなよ?お前に辛い思いはさせたくない。」

そう話すレイはとても行きたそうには見えなかった。

それに……私が辛い思いをするって。

辛い思いをするのは、レイも同じじゃないの?

なのに…………

「なんで?…………いいじゃん行かなくても!」

前、レイに聞いたことがある。

ここは誰にもバレたことがないって。

その“誰”にはハンターも入るでしょ?

「行かなくてもきっとバレないよ!!」

 「……だろうな。でも、俺は行く。行きたい、行かせてくれ!!」

レイは私の肩を掴んでそう言った。

…………なんだ。

また、私のためなんじゃん。

私が……あっちの世界で不審に思われないため。

馬鹿だよ。

「…………わかった。でも、私も一緒に行く。」

 「だめだ。萌々はここに残れ。お前にあんな汚れた世界は見せたくない。それに……北海道は危険だ。」

「私だって……!このままじゃ嫌。この世界のことをもっと知りたい!自分だけあったかい殻に隠れるようなことはしたくないよ。多少危険が伴っても構わない……!」