柔らかく細い手は少し力を入れれば折れてしまいそう
いや、いっその事折ってしまって動けないようにしてから守るというのはどうだろうか?
それならば外へ出ることもないため今よりも安全なのでは?
怯えたようなそれでもその表情のどこかに僕を気遣う気持ちを含ませながら続く言葉を待っている
「…僕と一緒に暮らそ?」
色々と考えた結果口をついて出たのはそんな些細な言葉
なんの捻りも工夫もないこんなもので茜は僕のそばにいたいと思ってくれるのだろうか?
数秒が何時間にも感じた
断れられてもしたら僕の心臓は粉々にくだけてもう元には戻らないだろう
驚きに真ん丸な黒目をさらに丸くしたその顔からは茜の気持ちを汲み取ることが出来ない
「………………………うん。私も一緒に暮らしたい。」
「……え。本当?」
ふにふにの頬が少し赤く染まる
こくりと上下に動いた頭を見た瞬間あまりの歓喜に思わず茜を抱き上げた
「きゃっ!龍樹くん!恥ずかしい!!」
「ごめん。でも、すごく嬉しいんだ。すごく。すごく。」
恥ずかしがって暴れるのを押さえつけるように抱きしめる力をさらに強くする
なんだ、最初からこうすれば良かったんじゃないか
最初から一緒に暮らしたいと言えばあんなに高い望遠鏡を買わなくても良かった
「これからはずっと茜を見ていられるんだ」
「ふふ、うん。そうだよ。これからは望遠鏡なんていらないんだよ」
「うん、そうだね」
お互いに顔を見合い笑いそして再び抱きしめ合う
幸せなこの時がこれからも一生続くなんて夢のようだ。
ー終ー

