「ワシは疲れた」


ふて腐れ、近くにあった切り株に腰を下ろした父。ふと横を見ると猪と目が合った。


「ぬわっ!?」


思わず発した奇声を聞き逃さなかった琉ヶ嵜。神経を研ぎ澄ませていた。いつ何が襲ってくるかもわからない。


森は一瞬反応が遅れた。


「危ない!!」


咄嗟に銃を構える。
恐怖に思わず頭を抱える父。


「ひいっ!?」


外せば父に当たる距離だ。
しかしこのまま突進されても牙で喰われても、ひとたまりもない。無傷では済まない。


慎重且つ一瞬で狙いを定め、一発で急所を仕留めた。


パン!!


父の目の前でドサッと倒れた猪。小柄な父と同じほどの大きさだった。


が、父はそのままおののき、気を失ってしまった。


「うーん…」



「お父さん!!」