「やっぱり、琉ヶ嵜のオジさん、振られちゃったんでちゅね~」


日曜の昼過ぎ。
客足はやはり靖美のいた頃を考えると少なめだった。


出産直後でふっくらしたゆきが、産まれた赤ん坊を見せに、店に遊びに来た。


琉ヶ嵜の落ち込みようが、妙に嬉しそうだった。苛め甲斐がある、と赤ん坊にポンポンしながら赤ちゃん言葉で話し掛ける。


「…どういう意味だ…」


不機嫌にぼそっと。
もう、『オジさん』に反応する気力もない。


あれから何度かマンションを張ってみたり、実家の辺りをうろついてみたが、何の手懸かりも得られず、眠れない日が続いていた。


目の下にがっつりクマができている。


「この前帰りに寄った、産婦人科近くのスーパーで、見かけましたよ?若いイケメン社長と手繋ぎデート!!」


「はあっ!?」


「どこでっすか!?ってか何で社長って知って…」


業平も食い付く。


「えっ??なに??違うの??」