「探してみましょう」
「いいんですか?」
思わず声が揃った靖美とゆき。
言ってから、あっとなる。
店員が発する言葉ではない、と。
琉ヶ嵜がそういう言い方をすることが珍しかったのだ。初めてかもしれない。
そしてゆきは別の直感が働いた。
「よろしくお願いします」
雨が収まり、日も暮れてきて、帰れそうになったので、一旦引き上げた靖美。
「もしかして、タイプだったりして」
クスッと笑い、呟いたゆき。
「そんな訳ないだろうが」
仏頂面で応えるが、ゆきは確信していた。
「店長、昔、私が告白したこと、覚えてます?」
「あん?!何のことだいきなり」
「振られちゃったの思い出しちゃいました。ああいう子が好みだったんですね」
納得したように、にやにやしながら、うんうんと頷く。
「違うっつってんだろうが」
「はいはい。残りの配達、行ってきまーす」
舌打ちする琉ヶ嵜。

