「逃げませんから、ほどいて頂けないですか??」


靖美が体をよじる。


「おトイレも行けないです。お腹も空きました」


帰ってきた瓜生が呆れる。
この娘は本当はバカなのか?!


知らない人間に拐われて、縛られ自由を奪われているのに、緊迫感や、恐怖感がまるでない。


「本当に悪い人じゃなさそうですし。そういうのわかるんです、私。体やお金目当てなら、とっくに手を出してるはずでしょう??」


慌ててトイレに駆け込む。女性に我慢させていたのかと、申し訳なくなる。


「ああ!!すっきりした!!あっ、何か食べたいものありますか??今からでよければ作りますけど」


「いや、た、食べてきた…ああ、いや、でも、せっかくだから。何でもいいよ…」