式の仕切りはほぼ業平と可奈子の2人でしてくれた。普通あり得ないと思うほど丸投げだった。


「知ってました??ナリくんちの実家、北海道で地主さんしてて、山も持ってて、お金持ちさんですよ!?」


休みの日。式場のパンフレットを手に、靖美の部屋で盛り上がる女子2人。


「そうなんですか??気にしたことないです」


「あっ、もちろんそれ目的じゃありませんけど」


大学進学のために、近場で住み処を探していた両親が、環境のよかったこの郊外に土地を見つけてこの際だからと買い取ったのだ。


思い付きがすごかった。


いずれは息子も独立するし、最悪、使わなくなっても貸家として賃金は取れる。


その流れで、田舎から出てきて行き場のなかった靖美を拾い、他の大学生数人でルームシェアをしていたのだった。


個人の所有物なので家賃も格安だったし、業平の目利きの住人は身元も確かで人柄も問題なかった。