それから月日が流れて、いくつかの季節が過ぎ去った頃、 私は初めて310号室の鍵を使った。 隣の309号室には、別の誰かが住んでいるのだろうか。 鍵穴に鍵を差し込んで、ゆっくり回す。 カチャッと音がしたのを確認して、鍵を抜いた。 緊張でうるさい心臓を抑えながら、静かにドアノブを掴んだ。