「そうかそうか、絶賛片想い中か。あ、コレ悪いけど昼からの会議で使うやつ、あとでセッティングしといて」
「わかった。お茶も人数分並べとくね。……そんな、片想いなんて大層なもんじゃ、」
「は?好きなんだろ?そいつのこと」
言われて、初めて思った。
好きなんだろうか、あの人のこと。
会えばドキドキするし、もっと話したいと思うし近付きたいし、知りたいし、知ってほしいし、……って、こんなこと思う時点で好きってことか。
そう意識した途端、顔にぶわっと熱が集まるのがわかった。思わず両手で頬を押さえて、口を引き結んだ。
「……なんてわかりやすい」
「う、うるさい!」
恥ずかしくて、滝本の顔が見れない。絶対ニヤニヤしてからかってくるに決まってる。
顔をなるべく見られないように俯いて、滝本の足元を見ていると、その足が動いて離れていった。
「あ、あれ?」
「目の前にこんないい男がいるってのに。……あーくそ」
「え?なに?」
それ以上滝本が何かを言うことはなくて、予想外の反応に首を傾げてしまった。


