勢いでこうなったものの、初対面で二人きりは気まずい。



『ホストの俺』なら沈黙なんて有り得ないのに今は何しゃべっていいか全くわかんねぇ…。




しかも、緊張してるし。



なんでだよ。



別に見ず知らずの女に緊張する理由なんかねえはずなのに。



つかこいつ何て名前?





「おい!!」

俺はまた強い口調で話し掛けた。


「えっ?!」

彼女は軽く驚き振り向いた。




「なあ。お前なんて名前?」


「名前?!
桜ですけど…あなたは?」


「俺は智弥。智弥って呼べ。
それと敬語使わなくていい。」


「ぁっ、うん…。」


「桜。お前やっぱり家出?」


「そうだよ…。
あんな家もう居たくなんかない!」


「まだ家族が居るだけマシだろ。
俺は親の事を全く知らない。
今までずっと独りだ。」


「あたしも家族はいないよ。
今は親戚の家に居るの。」