私、秋山 美鼓は夏休みがはじまってすぐにある花火大会に友達と行くことになった。
中学二年生の私にとって来年は部活が忙しくてこれないから中学最後の花火大会かもしれない。
そんな大げさな考えをするほど今日はすごく楽しみで、普段あんまりしないメイクとか新しく買ってもらった浴衣とか髪をアレンジしてみたり今すぐにでも花火大会に行ける様にと二時間前から準備をして、みんなで集まったのに……。
彼氏と行くことになったとか、ほかの友達に誘われちゃったとか……
当初6人だったメンバーは三人に減っていた。
仲がいい梨乃は熱を出して来れなくなって残ったふたりはあんまり仲良くないあゆみちゃんと、みさとちゃん。
2人はいつの間にかどこかに行ってしまって、私ひとりになった。

「せっかく準備したのに……」

花火大会の前のテンションはどこかに置いてきたかように下がっていた。
人気のないところで泣いてしまいたい……楽しみにしていた分悲しさは大きかった。

花火大会を見てさっさと帰ってしまおうと海岸沿いのベンチに行こうと考えた。
あのベンチはすぐ埋まってしまうから。
浮かない顔で座っていた石垣から立ち上がりおぼつかない足取りで海岸沿いのベンチへ急いだ。