「ちょ、そんなみんなの前でっ」

「えぇ、なんでぇ?・・・あ、ひとつ言うね?ぅちね、ぅちを散々いじめたチキちゃんが許せなかったの。」

樹里亜は淡々と、言葉を並べてゆく。

「そうだぁ・・・。チキちゃんさぁ、ルリちゃんとナグモちゃんの2人の取り巻きがいたよねぇ。それでさぁ、ぅちにトイレでモップを押し付けたりして・・・」


樹里亜がニヤリとすると、こう言った。

「その、過去のいじめが原因で就職先が全然決まらないとはお気の毒様。けどぅちは、アンタが就職活動をやってる間、人が怖くて外に出れなかったんだよ?」


胸が鳴っていて苦しい。

「それに比べたら、いいよねぇ?てゆーか、彼氏まで作っちゃってさ・・・調子乗んなってかんじ」

「う・・・。そ、そんな昔のこと、気にしちゃっておかしいんじゃない?」

「は?昔のこと・・・?ぅちはつい最近まで、外に出れなかったのに?」


ヤバイ。場が完全に凍りついている。悪者は完全に・・・私だ。

ある男性社員が言った、《帰れ!》

ある若者社員が言った、《出ていけ!》

そのどの言葉にも何も返せないまま、私は俯いていた。

実際、イジメをしていたのは事実だった。

あの頃私は、ルリとナグモという同級生と、ほがらかな毎日を過ごしていた。


「おはよ、ルリ,ナグモ!」

「「おはよぉ、チキ!」」

ふたりは親友で、大好きな友達。

かなりの人見知りだった私達は、唯一分かり合える友達だった。

幸歩とはクラスが離れて、関わりがなくなってしまったんだっけ・・・。