「やっと、終わったぁ・・・。」

5時間ほど前までは山のように積まれていた資料も、今では数えられる程度の量になっている。

これは、明日に回せば良いだろう。

その時、カツカツと床を踏み鳴らす音がした。うえぇ、司先輩だ!!

「ふむ。初めてにしては良くやったな。明日からも頑張ってくれよ。お疲れ様」


なっ・・・。照れるよ・・・/////

司先輩のクセに、意外と良いところあるじゃん。

「せっ、先輩も、お疲れ様でございました!」

自分の精一杯の誠意を尽くして、お辞儀をする。

我ながら、私は軽いな、と思った。

「ブハッ」

はっとして顔を上げると、司先輩がクスクスと笑っている。

「お疲れ様でございました、って・・・www」

私は思わずムッとして、司先輩を睨むと、そんな私のおデコにデコピンをして、

「面白いやつっ。よろしくな」

と言って微笑んだ。

そういえば、私が田町学園の中学生だったときに、私には好きな人がいたんだっけ・・・。

名前は忘れちゃったな・・・。

でも、凄く格好良くって、大好きだった。

その人も、こんな笑顔をしていた気がする。高校生に上がるときには、いなかった。転校しちゃってたんだ。

思い出を一ページ一ページをめくり返す。と、その時、

「あっ、いけない!もう10時!」

こんな時間まで、司先輩は私が終わるのを待っていてくれたんだと知る。

「つ・・・司先輩・・・。」

振り返ると、司先輩は優しく微笑み、なんだ?と呟くように言った。

「もう遅いだろ。お前も一応女の子だしな。送ってってやる。」

「あ、ありがとうございます・・・。」

私の胸はどきどきと暴れていた。