「あはっ、ごめん、今カノさん?」


明奈さんの嘲笑うような声に鼓動が激しく波打つ。苦しい。苦しいよぉ。

気付くと、私の目からは涙が溢れていた。

「っ・・・!私、帰るねっ」

たっ、と走り去る。

後ろで明奈さんが『追いかけなくていいのぉ?』とわざとらしく言っているのが聞こえる。

それに先輩は、『いいよ、あんな奴』と答えた・・・ように聞こえた。

恥ずかしい。

きっともう、先輩に嫌われた。

それでも期待して、後ろをチラリと見てしまう。

後ろに小さく、司先輩と明奈さんが抱き合っているのが見えた。

・・・そっか。先輩は、明奈さんを選んだ。

苦しくて、その場にうずくまる。

期待した私が馬鹿だった。

先輩には、元から明奈さんという女の子がいたんだから。