「かっ返せっ!」「泥棒猫ーっ!」

整っていないボサボサの赤髪を振り乱し

リアは盗ったものを抱え

走る。

(ここまでは作戦どうり…)


長い長い街の歩道を通り

最後の曲がり角を曲がったその時だった。


ドンッ!!


「ちょっと・・・ッ!」


「わ…悪い……」

カッとして見上げると

蒼髪、長身の男が驚いた顔をして立っていた。

「あたし、急いでるから!どいて!」

男を押し退け

再び走り出す。

「ちょっ、待っ…!」

グイッと、腕を引かれ

こけそうになる。

「わっ!いっ……たぁ…。な、何すんのよ?!」

「お前…どっかで会ったこと…」

「無いわよ!離して!急いでるって言ったでしょ」

男の手を振りほどき

思い切り走る

(なに、あの男…)

(危うく警察に捕まるとこだったわ…)

男を鬱陶しく思いながら、リアはこの街を去った