「あの子、美人だよな~。」

「綺麗過ぎだろ。」

「高校生活楽しくなりそ~~!」


周りがうるさい。


ていうか美人でもなんでもないし。

まぁ、褒め言葉としてはうれしいんだけど・・

こっちをずっと見て来るのは本当にやめてほしい。


しかも、女子たちの視線も痛い。

その視線から逃れるように私は窓の外を見つめる。



ピンク色の桜・・・。


すると、視界が急に真っ暗になった。


なにも、聞こえナイ。


私だけが、取り残されたミタイニ。


『はぁ。何でこんなことに___。」



『やめろ!!!』


怖い、怖い。

手が足が震える。


「乙姫(つばき)さん?出席ですよ。」


「あ、はい。」

周りはみんな席についていて、時計は8時40分を指していた。


気付かなかった。


こんなに時間がたっていたなんて。


『やめろ!!』

ドクンと心臓が嫌な音を立てた。

手が小刻みに震えてくる。


大丈夫、大丈夫。


一体、何が大丈夫なのか自分でも分からない。

けど、そうすることで少しでも自分を落ち着かせたかった。