「お福さん!!」


屯所の移転が決まった日




沖田さんが、私の所に来た

山南さんとの会話を聞いていたから

私が出て行くことを知っている



沖田さんにペコリとお辞儀をして

せかせかと洗濯物を干す



「僕は、こんなふうにギクシャクしたの
すっごく嫌なんですよ」


視線を合わせず

話を聞く


「出て行ったりしないよね?」


私の手から洗濯物を奪う


「伊東さんに従うことないよ
君は、女中で新選組の隊士じゃない
話をしてください!!
山南さんみたいに、なんでも答えられないけど、僕に相談して下さい!!」


沖田さんから、洗濯物を奪い返し


盥を持って背を向けた



「お福さん!!」




沖田さんまで、立場が悪くなったら


嫌なんですよ



山南さんを見送ることになったのも


私と関わったからだと、思う









買い物に出掛け


気配を感じて、上を見る



「や!話さへん?」



山崎さんだった…


ペコリとお辞儀して、無視した



その後も永倉さんや原田さん

藤堂さん、斎藤さんたちが


私の所に来た



沖田さんは、口が軽いのかも





夕餉の片づけをしていると




また誰かきた











その人に、驚き目を開いた