「双子なので…
見分けつかなかったですね…」



お福が苦笑いして言った




「すまん
あれほど似た顔で、同じ声だったから」




「子供の頃から、私は…
兄の代役をさせられてました
大事なのは、兄で
私は、その代役
産まれる前から、ずっと一緒だったのに
産まれてからは、太陽と月のように
私達は、別々に育てられました」



静かに涙を流し、語りを続ける



「優しかった
一緒に遊んだり、武術のお稽古も
学問も、私が遅れをとらないように
いつも私の追いつける速さで前を行く
何度も振り返り、心配してくれた
私の養父母や友達を殺した、兄が憎い
でも……私は、兄を…殺せない」





そっと、お福の元に行き、抱きしめた








お福が、苦しそうに泣くのを

ただ背中を擦ってやるだけ

何かしてやりたいが

思いつかない


総司が助け船を出してくれた


「大丈夫ですよ!僕たちは、裏切らない!
たくさん泣いて、土方さん特製の
しょっぱいおにぎり、食べません?」


「……んっくっ……食べるぅ」





「ところで…お福って、いくつなの?」


平助が質問すると


「ふぇっ?…18です」


「土方さんは?」


「31」


「僕の方が、年が近い!!」

「俺の方が近いし!!」

「俺も近い」


総司、平助、斎藤が

意味不明な小競り合いを始め


「うふふっ」


泣き止んだ



食の細い、お福が

俺の握り飯だけは、残さず食べる


ちょっと巨大な握り飯にした


「美味しい~」



全部、食べた


次は、もっと巨大にしよう