屯所に戻り



夕餉の支度をしようと

炊事場に入って


前掛けを手にした瞬間


ポタリ


ポタリ



涙が溢れた













私は、迷っている







ここに… 新選組に…






いたい













ただの女中として…















「おめぇは、いつも泣いてるな…」



土方さんの足音が近づいていることには

気づいたけど

溢れる涙を止められなかった



フワリと視界が暗くなったことで



土方さんに抱きしめられたのだと

わかった



優しく背中を撫でられ

もう片方で、頭をトントンされる






兄に裏切られたあの日以来

こんなに泣いたことはなかった





こんなに素直に自分を出しているなんて





腕を土方さんの背中に回し

思い切り泣いた










泣いて 泣いて