「あれぇ?違いましたか?
斎藤君は、半信半疑だったけど
お福ちゃんは、かなり自信があったのに」




どこからそんな自信が?

山南さんを見ると、心底残念そう




「甘味を食べ損ねた沖田さんに似てる」




私の例えが上手かったらしく

2人をしばらく笑っていた




私の予想も少し当たったかも

なんだか気が晴れたから



「新選組とは、良い関係でいたいの
敵でないことは確かよ!
ちゃんと、言えればいいのだけど
言えないことが多くて…助かってます
皆さん、詮索せずに
私を受け入れて下さって」


「言えないというのは、辛いね」

「うむ、後ろめたい気持ちになるものだ」




頭の良い人だわ

他人の心を良く読んで

きっと、斎藤さんと私の心を軽くするため

人気のない河原に来たのね

斎藤さんの言う通り

私は、後ろめたい

騙しているような気持ちになるもの



「いつか… 言いたくなったら…」



言い掛けてやめた



私は、また人を信じている



この人達に限って

新選組に限っては


裏切ったりしない


どこかで、裏切られるという恐怖があり



「…いつか」



そんな言葉しか出なかった






たった1人の家族に裏切られ

京に殺しに来た私と





信頼する仲間と

国や民を守る為に来た

新選組とでは




志があまりに違う







ある意味…


私は、すでに新選組を裏切っている


そんな風に思えて


真実を語ることをやめた