せっかく見つけた手がかりを

簡単に逃がしはしない



私は、男を捕まえようと

手を伸ばす


だけど



グイッ




土方さんの手がお腹に回り

引き戻された




「離して!!邪魔しないで!!」



今の私は、憎しみを思い出し

我を忘れかけている


でも、追わなくちゃ

男が屋根上に逃げる



「山崎が後をつける」



「ごめんなさい」



土方さんをクルリとひっくり返し

私もヒラリと屋根上へ



山崎さんと一緒に、屋根上を走る


途中、雨が降り始め


視界が悪くなった






「あかん……見失った
……お福?大丈夫か?」




やっと、見つけたのに……




私は、雨に紛れて静かに泣いた





「ええ 大丈夫です …帰りましょう」





こんな時でも、兄と追いかけっこして遊んだことを思い出す






あの優しかった兄は、もういない


そう思うと






とても悲しかった