ディスペア

「どうせ優人も、私を裏切るんでしょ!」

そう言うと、彼は下唇を噛んだ。
そして、私の目を見てはっきりと言った。

「僕は君を裏切らない!!」

私はびっくりして彼を見つめた。
そんな私の瞳は次第にぬれて、まばたきすると、涙が頬をつたった。

あぁ、私はずっとこれを待ってたんだな、そう思った。
ずっとこれを言ってほしかったんだな…と。

 そのあと、彼は私の涙が止まるまでずっとそばに居てくれた。
それが嬉しかった。
 結局帰るのはいつもより遅くなってしまって、空は赤くなっていた。



 優人とあってから3ヶ月と少したった。

《ピンポーン、ピンポーン》

午前10時のインターホン。
誰だろう、と疑問を胸にドアを開ける。

「麻彩ちゃん、こんにちは!」

そこにいたのは、優人だった。

「え………え!?」

私が事態を呑み込めずにいると、彼がそれをみはからって口を開いた。

「今日から僕ら、夏休みだよ?」

あぁ、そういえば。

というか……『僕ら』か………

私も含まれてるんだ……
学校なんてまともに通ってないのに………
麻彩はそれが嬉しかった。
そんな些細な言葉にも、彼の優しさがこもっている。
だから私は、そんな彼の言葉が好きだった。


「せっかくだから上がって行かない?」

そう聞くと、彼は喜んでついてきた。
彼がここにいると、ずっと空気が重くて居心地が悪かったこの部屋にも、暖かい空気が流れる。

不思議な人だなと思った。
……好きだなって思った。

 それから、彼は毎日家に遊びに来た。
毎日会っていても話は尽きない。
彼がそばにいるだけで、安心できる。
私の瞳に光が宿るのが感じられた。
自然な姿でいられる。
彼とならずっと一緒にいてもいいなと思った。

ずっと一緒にいたいと思った。



 風が冷たい季節になった。
辺りがキラキラ輝やいている。
12月、もう彼と出会って8ヶ月。
今日も隣に彼がいる。

「ツリーおっきいねー!」

「うん!」

私はきっと、前より明るくなった。
世界が鮮やかに見えるようになった。
それもこれも、彼のおかげなんだな~としみじみと思った。

 今日、終業式が終わった彼はそのまま私に会いに来た。
そして、学校であったことを話してくれる。
そう、彼はいつも学校であったことや、自分の失敗談まで包み隠さず話してくれる。

だから私も、全てを彼に話さなければならない。

私が母を殺したことを………

話すなら今じゃない?
彼ならきっと、しっかり受け止めてくれる。
そう思った。

  話そう、全部