あの日、あの病室で彼女にせがまれた時に強く断っておけば良かったんだ。
その時点で俺が彼女に憎まれるのを恐れさえしなければ、君をこれほどまでに傷付けなかったんだから。
全部俺の脆弱さが招いた結果なんだよね。
でもこれ以上そのシコリを残しておくわけにはいかない。
俺を強く縛り続けるあの日の誤った行為を清算しなければ、さらに君を、そして彼女をも不幸にしてしまい兼ねないのだから。
彼女の想いを断ち切る為にと思って行った病室での行為が、むしろ俺を蝕み続けた。
なぜそんな気分に苛まれたのか。それは俺が病気に苦しむ彼女を憐れんだだけで、あの日の行為自体は優しさでもなんでもなかったからなんだよ。
だから俺は悶々と鬱積した不満を抱き続けていたんだ。
全てが間違いだった。
それが理解出来ていたから。
でももう終わりにしよう。
俺は自分に足りなかった覚悟を見出せたんだ。
どれほど彼女に苦痛を虐げようとも、俺は君を選ぶ事に決めたんだ。
もうそれは覆しようのない本心なんだ。
だから最後の一言を彼女に告げて終わりにしよう。
俺はそう決意して彼女に向き直った。――――が、その瞬間、足元につまずいた彼女が体勢を崩したんだ。
俺は咄嗟に彼女の体を抱きかかえた。細い彼女の体を包み込むようにして。
思い掛けなく接近した二人の顔の距離に俺は出鼻を挫かれる。
一旦彼女の体勢を元に戻し、仕切り直してから最後の言葉を告げよう。
一瞬の合間に俺はそう考えを巡らしたのかも知れない。
でもその僅かな一瞬の時間のタメが、俺の全てを狂わせたんだ。
俺に抱きしめられたままの体勢で、彼女が小さく口走しらせたから。
「私だって、あなたとケジメをつける為に今日ここに来たのよ。でもやっぱりあなたって優しい人だから。だから私、あなたの事が忘れられないのよ」
「!」
潤んだ瞳でそう呟いた彼女は、細く冷たい手を俺の顔に伸ばしておもむろに唇を重ねた。
一体俺に何が起きたのか。何をされているのか。
まったく理解できない状況で、それでも俺の目に映ったのは【君】の姿だったんだ。
その時点で俺が彼女に憎まれるのを恐れさえしなければ、君をこれほどまでに傷付けなかったんだから。
全部俺の脆弱さが招いた結果なんだよね。
でもこれ以上そのシコリを残しておくわけにはいかない。
俺を強く縛り続けるあの日の誤った行為を清算しなければ、さらに君を、そして彼女をも不幸にしてしまい兼ねないのだから。
彼女の想いを断ち切る為にと思って行った病室での行為が、むしろ俺を蝕み続けた。
なぜそんな気分に苛まれたのか。それは俺が病気に苦しむ彼女を憐れんだだけで、あの日の行為自体は優しさでもなんでもなかったからなんだよ。
だから俺は悶々と鬱積した不満を抱き続けていたんだ。
全てが間違いだった。
それが理解出来ていたから。
でももう終わりにしよう。
俺は自分に足りなかった覚悟を見出せたんだ。
どれほど彼女に苦痛を虐げようとも、俺は君を選ぶ事に決めたんだ。
もうそれは覆しようのない本心なんだ。
だから最後の一言を彼女に告げて終わりにしよう。
俺はそう決意して彼女に向き直った。――――が、その瞬間、足元につまずいた彼女が体勢を崩したんだ。
俺は咄嗟に彼女の体を抱きかかえた。細い彼女の体を包み込むようにして。
思い掛けなく接近した二人の顔の距離に俺は出鼻を挫かれる。
一旦彼女の体勢を元に戻し、仕切り直してから最後の言葉を告げよう。
一瞬の合間に俺はそう考えを巡らしたのかも知れない。
でもその僅かな一瞬の時間のタメが、俺の全てを狂わせたんだ。
俺に抱きしめられたままの体勢で、彼女が小さく口走しらせたから。
「私だって、あなたとケジメをつける為に今日ここに来たのよ。でもやっぱりあなたって優しい人だから。だから私、あなたの事が忘れられないのよ」
「!」
潤んだ瞳でそう呟いた彼女は、細く冷たい手を俺の顔に伸ばしておもむろに唇を重ねた。
一体俺に何が起きたのか。何をされているのか。
まったく理解できない状況で、それでも俺の目に映ったのは【君】の姿だったんだ。
