ごめん。俺は約束を守れなかった。
君を生涯守り抜く役目を果たしたい。俺と一緒に歩むことで、君の未来を幸せなものにしてあげたい。
そう心に誓って、俺は君と付き合っていたはずだった。
でもダメだった。その願いは叶わなかった。
俺の脆弱な心が、君をひどく傷つけてしまったから。俺の心無い言葉と態度で、君の大切な想いを強く踏みにじってしまったから。
きっと俺はこれからもずっと、その自責に悩み続けて生きて行くんだろう。
それほどまでに俺は、取り返しのつかない残酷な仕打ちを君にしてしまったんだからね。
けど俺が犯したその一連のあやまちを振り返る事で、改めて思い知ることが出来たんだ。
俺が今を生きていられるのは、皮肉にもその全てが必要な出来事だったんだってね。
俺にはもう、君に与えた苦痛を取り除くことは出来ない。
それどころか俺の性格は歪んだままであり、またいつか同じような間違いをしてしまうかも知れない。
そしてそんなねじ曲がった性格は、恐らく死ぬまで治らないんだろう。
でもだからといって、俺はそれを諦める事が出来なかったんだ。
もう君を幸せには出来ない。
だけど君への罪意識が俺の胸に息づいている限り、これから先に出会うかも知れない、君じゃない誰かを幸せにする努力は、決して怠りはしないだろうってね。
君は自分の弱さをよく理解していたからこそ、人に優しく出来たんだ。
そんな君の生き方が間違っているわけがない。俺に裏切られたからって、それだけは見失わないでほしい。
俺はあくまで身勝手に、自分の恥ずかしさを隠す為だけに君との別れを選んだ。
いや、君から逃げ出したんだ。君の愛情に応えるだけの自信が無かったから。
それがどれほどのバカな間違いだったかは把握している。
けれど俺には慈愛に満ちた君の優しさから逃げることでしか、自分自身の心に折り合いを付ける事が出来なかったんだ。
許してほしい――なんて、口が裂けても言うつもりはない。むしろ恨み続けてほしいくらいさ。
でももし君と再び出会う事があったとしたならば、やっぱり君は俺に優しく微笑んでくれるんだろうね。
だからその時は俺も頑張って笑顔になるよ。そして君に伝えるんだ。どうしても面と向かって言えなかった『ありがとう』っていう感謝の気持ちをね。
君が今どこで何をしているか、それは分からない。だから君に俺の想いを直接伝えることは出来ない。
けどね、君と共に過ごした思い出は、今でも俺の心を熱くさせてくれるんだ。
そして俺はまた、こうして走り出すことが出来たんだよ。そこには嘘偽りなんてこれっぽっちも無くて、あの日々の記憶が支えになっているからに他ならないんだよね。
本当にありがとう。短い期間だったけど、でもそんな生涯忘れられない大切な【思い出のカケラ】を残してくれた君に、心から感謝の気持ちを送ります。
君に幸せが訪れることを心から祈りながら――。
「キャッ」
突然発せられた甲高い女性の悲鳴。
君への想いを胸に抱きながらゴールを目指す俺が耳にしたそれは、東京マラソンという大舞台にまったく相応しくないものだ。
そしてそこで俺に待ち受けていたのは、最後の試練とも言うべき、苦痛に満ちた過酷な現実だったんだ――。
君を生涯守り抜く役目を果たしたい。俺と一緒に歩むことで、君の未来を幸せなものにしてあげたい。
そう心に誓って、俺は君と付き合っていたはずだった。
でもダメだった。その願いは叶わなかった。
俺の脆弱な心が、君をひどく傷つけてしまったから。俺の心無い言葉と態度で、君の大切な想いを強く踏みにじってしまったから。
きっと俺はこれからもずっと、その自責に悩み続けて生きて行くんだろう。
それほどまでに俺は、取り返しのつかない残酷な仕打ちを君にしてしまったんだからね。
けど俺が犯したその一連のあやまちを振り返る事で、改めて思い知ることが出来たんだ。
俺が今を生きていられるのは、皮肉にもその全てが必要な出来事だったんだってね。
俺にはもう、君に与えた苦痛を取り除くことは出来ない。
それどころか俺の性格は歪んだままであり、またいつか同じような間違いをしてしまうかも知れない。
そしてそんなねじ曲がった性格は、恐らく死ぬまで治らないんだろう。
でもだからといって、俺はそれを諦める事が出来なかったんだ。
もう君を幸せには出来ない。
だけど君への罪意識が俺の胸に息づいている限り、これから先に出会うかも知れない、君じゃない誰かを幸せにする努力は、決して怠りはしないだろうってね。
君は自分の弱さをよく理解していたからこそ、人に優しく出来たんだ。
そんな君の生き方が間違っているわけがない。俺に裏切られたからって、それだけは見失わないでほしい。
俺はあくまで身勝手に、自分の恥ずかしさを隠す為だけに君との別れを選んだ。
いや、君から逃げ出したんだ。君の愛情に応えるだけの自信が無かったから。
それがどれほどのバカな間違いだったかは把握している。
けれど俺には慈愛に満ちた君の優しさから逃げることでしか、自分自身の心に折り合いを付ける事が出来なかったんだ。
許してほしい――なんて、口が裂けても言うつもりはない。むしろ恨み続けてほしいくらいさ。
でももし君と再び出会う事があったとしたならば、やっぱり君は俺に優しく微笑んでくれるんだろうね。
だからその時は俺も頑張って笑顔になるよ。そして君に伝えるんだ。どうしても面と向かって言えなかった『ありがとう』っていう感謝の気持ちをね。
君が今どこで何をしているか、それは分からない。だから君に俺の想いを直接伝えることは出来ない。
けどね、君と共に過ごした思い出は、今でも俺の心を熱くさせてくれるんだ。
そして俺はまた、こうして走り出すことが出来たんだよ。そこには嘘偽りなんてこれっぽっちも無くて、あの日々の記憶が支えになっているからに他ならないんだよね。
本当にありがとう。短い期間だったけど、でもそんな生涯忘れられない大切な【思い出のカケラ】を残してくれた君に、心から感謝の気持ちを送ります。
君に幸せが訪れることを心から祈りながら――。
「キャッ」
突然発せられた甲高い女性の悲鳴。
君への想いを胸に抱きながらゴールを目指す俺が耳にしたそれは、東京マラソンという大舞台にまったく相応しくないものだ。
そしてそこで俺に待ち受けていたのは、最後の試練とも言うべき、苦痛に満ちた過酷な現実だったんだ――。