足を止めるのが怖かったのかも知れない。
走る事を辞めてしまったならば、また元の根暗な俺に戻ってしまう。
無意識にも俺はそう思っていたんだろうね。
だけどもう御免なんだ。うんざりなんだよ。二度とあんなみじめな自分になんて戻りたくはない。絶対に戻ってはいけない。そう切実に俺は願っていたから、だから俺は毎朝のジョギングに気持ちを駆り立てて行ったんだ。
折れそうになる気持ちを懸命に支え、一歩一歩前へと進む。そしてその日の完走を果たした時、俺に訪れるのは至福の達成感だったんだ。その瞬間だけは満ち足りた感覚で癒されたんだよ。
本当に俺は今を生きているんだって、そう心から思えたからね。
でも俺には走るたびに痛感する苦い感覚も抱いていたんだ。
それは自分の予想を遥かに超えた体力の衰えと筋力の低下だったんだよね。
運動不足が否めない事実だって事はよく把握している。ただそれを自覚した上でも、俺の体は自らの意志に反して言う事を聞いてはくれなかったんだ。
正直なところ愕然としたね。まさかこれ程までに走れなくなっているとは思わなかったよ。
気持ち的にはもっと走りたいのに体力が続かない。筋肉痛だって体の自由を奪うほどに唸りを上げている。
極端な言い方だけど、仕事にも影響が出たほどだからね。
特に商品の補充なんかは最悪だった。太ももが痛過ぎて屈む姿勢が取れやしない。時間ばかり喰ってしまって、他のスタッフにどれだけ迷惑を掛けてしまったことだろうか。申し訳ない気持ちで一杯だ。
だけどね、俺はそんな痛みすら嬉しく感じていたんだ。
変わり映えが無く、生き甲斐の無い生活から少しずつだけど抜け出せている。その確固たる証拠こそがその痛みなんだと、俺は感じていたから。
暗い影の中に閉じこもっていたあの頃に戻りたくない。
そんな恐怖心が俺をジョギングに駆り立てている。その想いは紛れもない真実なんだろう。
でもね、俺は本当の自分の気持ちに気付きはじめたんだ。そう、俺は純粋に走る事が好きだったんだと。走る事が楽しいんだと。そして何より、走る事に飢えていたんだとね。
走る事を辞めてしまったならば、また元の根暗な俺に戻ってしまう。
無意識にも俺はそう思っていたんだろうね。
だけどもう御免なんだ。うんざりなんだよ。二度とあんなみじめな自分になんて戻りたくはない。絶対に戻ってはいけない。そう切実に俺は願っていたから、だから俺は毎朝のジョギングに気持ちを駆り立てて行ったんだ。
折れそうになる気持ちを懸命に支え、一歩一歩前へと進む。そしてその日の完走を果たした時、俺に訪れるのは至福の達成感だったんだ。その瞬間だけは満ち足りた感覚で癒されたんだよ。
本当に俺は今を生きているんだって、そう心から思えたからね。
でも俺には走るたびに痛感する苦い感覚も抱いていたんだ。
それは自分の予想を遥かに超えた体力の衰えと筋力の低下だったんだよね。
運動不足が否めない事実だって事はよく把握している。ただそれを自覚した上でも、俺の体は自らの意志に反して言う事を聞いてはくれなかったんだ。
正直なところ愕然としたね。まさかこれ程までに走れなくなっているとは思わなかったよ。
気持ち的にはもっと走りたいのに体力が続かない。筋肉痛だって体の自由を奪うほどに唸りを上げている。
極端な言い方だけど、仕事にも影響が出たほどだからね。
特に商品の補充なんかは最悪だった。太ももが痛過ぎて屈む姿勢が取れやしない。時間ばかり喰ってしまって、他のスタッフにどれだけ迷惑を掛けてしまったことだろうか。申し訳ない気持ちで一杯だ。
だけどね、俺はそんな痛みすら嬉しく感じていたんだ。
変わり映えが無く、生き甲斐の無い生活から少しずつだけど抜け出せている。その確固たる証拠こそがその痛みなんだと、俺は感じていたから。
暗い影の中に閉じこもっていたあの頃に戻りたくない。
そんな恐怖心が俺をジョギングに駆り立てている。その想いは紛れもない真実なんだろう。
でもね、俺は本当の自分の気持ちに気付きはじめたんだ。そう、俺は純粋に走る事が好きだったんだと。走る事が楽しいんだと。そして何より、走る事に飢えていたんだとね。
