もうここまでくると返す言葉がない。

私が半ば呆れていると――。

「あっ……」

福山さんの顔色がさっと変わった。

「え?」

「お、おはようございまーす!保坂先生」

「(ええっ!保坂先生!?)」

驚いて振り返ると、無表情の保坂先生が立っていた。

「おはようございます」

「お、おはようございます……」

今の会話、聞かれちゃった!?

「さーてと。私はトイレ掃除行ってきまーす」

うわ、福山さんてば都合が悪くなるとすぐ逃げるんだから……。

静かなスタッフルームに、保坂先生とふたりきり。

取り残された私の気まずさったらない。

「保坂先生、あの……」

「清水さん」

「は、はいっ」

動揺する私とは裏腹に、保坂先生は相変わらずの無表情。

眼鏡の向こうのその瞳は決して揺らがず、私を静かにとらえていた。

うぅ、何考えてるのかわからない……。
 
けど、絶対に怒ってるよね。

そりゃあ、あんな失礼なことを言われたら気分を害して当然だもの。