とろけるような甘い空気に、いっそう胸が高鳴って、頬がみるみる熱くなる。
彼の手が上気した頬に触れ、その声が耳元でちょっと切なげに問いかける。
「キス、しても?」
「……!」
思わず彼のパジャマをぎゅっとつかむ。
ドキドキして、ワクワクして、ソワソワして。
ココロが急に大忙しで、いっぱいいっぱい。
(私、いつもいつも……)
甘美な胸の高鳴りは、声を奪ってしまうから。
黙ったまま、精一杯こくりと大きく頷く私。
優しくされる事にも、ずいぶん慣れたはずなのに。
それでも、相変わらずはじまりは緊張してる。
それをまた、彼はすっかりお見通しなのだから。
「深呼吸でもしておく?」
半分冗談、半分本気?
彼の言葉を真に受けて、大きく吸って、大きく吐いて……。
「僕の彼女は緊張しいで、真面目で。そういうところ――」
近づく彼の柔らかな気配に、おずおずとためらいがちに顔を上げる。
「可愛すぎてどうしようもない」
ふわりと唇が重なって、募る想いが溶けあって甘い熱を帯びていく。
(私も、大好き……)
縋るようにこの身を寄せれば、呼応するように、肩を抱く手に力が入る。
深く深くキスを交わしながら、私の輪郭をなぞる彼の手のひら。
髪に、耳に、頬に、首に――その1つひとつを確かめるように、心地よい体温が触れていく。
肩に降りた手が滑らかに腕を撫でて、そろりと手首に到達する。
そうして、柔らかに手を取って、緩く指を絡めてから――彼は重ねた唇をゆっくりと離した。
(あぁ、やめちゃうんだ……)
思わずついた吐息は、ひどく甘ったるくて、欲しがりみたいで。
(私ってば……っ)
恥ずかしくて、恥ずかしくて、恥ずかしすぎて。
「可愛いね、千佳さんは」
「……っ」
くすりと笑う彼に、“めっそうもない!”とふるふる首を横に振る。
「頑なだなあ」
「……そんなことはないかと」
「可愛いよ、千佳さんは」
「変わり者ですよ、秋彦さんは」
「それこそ、そんなことはないかと」
彼は髪に優しいキスをして、切なそうに私に告げた。
「君の可愛さに気づく男が僕だけなら、どんなに心安いだろう」
(秋彦さん……)
「私は、秋彦さんさえ可愛いと思ってくれたらそれで……それだけで幸せって思ってますよ」
たとえ100の想いが束になっても、たった1人の意中の人には敵わない。
想い慕うその人が、同じように自分を望んでくれるという奇跡。
(やっぱり“ここ”が私の居場所だ)
ぎゅっと抱きつけば、心地よくて、安心で、それでいて――やっぱりすごくドキドキする。
「続きをしても?」
気持ちを察していても、彼はこうして確かめる。
それは、私の反応を見るのが好きというのもありそうだけど、もっと――。
(秋彦さんだって、真面目で慎重ですよね?)
「千佳さん?」
「電気、眼鏡…………ヨガマット」
出発前の確認よろしく列挙したけど。
(ヨガマットって……)
トンチンカンな照れ隠しにもほどがある……。
「あれって、クルクルって巻けばよいのだっけ?」
それをまた彼がまじめに受け取って、片付けようとしている件!
「そ、それはそのままで!お気になさらずっ」
「そう?」
「広げっぱなしになっているのが目に入っただけなので」
「君がずっとヨガマットのことを気にしているとかだと、僕はちょっと切ないのだが」
「ないですから!大丈夫なのでっ」
(この人はもう……)
私の彼は、聡明で、遊び心があって、優しくて。
そういうところ――。
(大好きで大好きでしかたがない)
彼の手が上気した頬に触れ、その声が耳元でちょっと切なげに問いかける。
「キス、しても?」
「……!」
思わず彼のパジャマをぎゅっとつかむ。
ドキドキして、ワクワクして、ソワソワして。
ココロが急に大忙しで、いっぱいいっぱい。
(私、いつもいつも……)
甘美な胸の高鳴りは、声を奪ってしまうから。
黙ったまま、精一杯こくりと大きく頷く私。
優しくされる事にも、ずいぶん慣れたはずなのに。
それでも、相変わらずはじまりは緊張してる。
それをまた、彼はすっかりお見通しなのだから。
「深呼吸でもしておく?」
半分冗談、半分本気?
彼の言葉を真に受けて、大きく吸って、大きく吐いて……。
「僕の彼女は緊張しいで、真面目で。そういうところ――」
近づく彼の柔らかな気配に、おずおずとためらいがちに顔を上げる。
「可愛すぎてどうしようもない」
ふわりと唇が重なって、募る想いが溶けあって甘い熱を帯びていく。
(私も、大好き……)
縋るようにこの身を寄せれば、呼応するように、肩を抱く手に力が入る。
深く深くキスを交わしながら、私の輪郭をなぞる彼の手のひら。
髪に、耳に、頬に、首に――その1つひとつを確かめるように、心地よい体温が触れていく。
肩に降りた手が滑らかに腕を撫でて、そろりと手首に到達する。
そうして、柔らかに手を取って、緩く指を絡めてから――彼は重ねた唇をゆっくりと離した。
(あぁ、やめちゃうんだ……)
思わずついた吐息は、ひどく甘ったるくて、欲しがりみたいで。
(私ってば……っ)
恥ずかしくて、恥ずかしくて、恥ずかしすぎて。
「可愛いね、千佳さんは」
「……っ」
くすりと笑う彼に、“めっそうもない!”とふるふる首を横に振る。
「頑なだなあ」
「……そんなことはないかと」
「可愛いよ、千佳さんは」
「変わり者ですよ、秋彦さんは」
「それこそ、そんなことはないかと」
彼は髪に優しいキスをして、切なそうに私に告げた。
「君の可愛さに気づく男が僕だけなら、どんなに心安いだろう」
(秋彦さん……)
「私は、秋彦さんさえ可愛いと思ってくれたらそれで……それだけで幸せって思ってますよ」
たとえ100の想いが束になっても、たった1人の意中の人には敵わない。
想い慕うその人が、同じように自分を望んでくれるという奇跡。
(やっぱり“ここ”が私の居場所だ)
ぎゅっと抱きつけば、心地よくて、安心で、それでいて――やっぱりすごくドキドキする。
「続きをしても?」
気持ちを察していても、彼はこうして確かめる。
それは、私の反応を見るのが好きというのもありそうだけど、もっと――。
(秋彦さんだって、真面目で慎重ですよね?)
「千佳さん?」
「電気、眼鏡…………ヨガマット」
出発前の確認よろしく列挙したけど。
(ヨガマットって……)
トンチンカンな照れ隠しにもほどがある……。
「あれって、クルクルって巻けばよいのだっけ?」
それをまた彼がまじめに受け取って、片付けようとしている件!
「そ、それはそのままで!お気になさらずっ」
「そう?」
「広げっぱなしになっているのが目に入っただけなので」
「君がずっとヨガマットのことを気にしているとかだと、僕はちょっと切ないのだが」
「ないですから!大丈夫なのでっ」
(この人はもう……)
私の彼は、聡明で、遊び心があって、優しくて。
そういうところ――。
(大好きで大好きでしかたがない)



