搬送先の病院は複数の診療科と入院設備のある大きな病院だった。
車から“そろそろ到着します”とメッセージを送っておいたので、彼がロビーに降りてきてくれているはず、だったのだけど――。
「やっほー、レイちゃん久しぶりー。あー!そちらは秋兄(あきにい)の彼女さんだー!」
最初に出迎えたくれたのは、彼ではなくて……。
「フユ、病院では“お静かに”でしょ?」
「あははー、ごめんごめん」
いきなり目の前で展開された“姉ちゃんと弟くん”のようなトーク。
(これって、いったい……)
「あの、麗華先生……???」
戸惑いながら、やや訴えるような目で麗華先生を見つめる。
「あらー、言ってなかったっけ? これ、末っ子の冬衛」
(ぜんっぜん聞いてませんけど!弟さんがいらしてるなんて!)
「はじめましてー。四男の冬衛でーす。秋兄がお世話になってまーす」
なんという、ゆるふわ男子……。
「こ、こちらこそはじめまして。秋彦さんとお付き合いさせていただいております、清水千佳と申します。よろしくお願いしますっ」
もう、秋彦さん何も言ってくれないし!
っていうか、本人いないし!
「秋兄はそこのコンビニで買い物中だよ。もう来ると思うんだけどねー」
冬衛さんは写真の印象以上に、明るくて社交的な感じがした。
長身で爽やかで、いわゆる男っぽいイケメンというより、キレイな男の人という感じ。
誤解を恐れずに言うなら、貴志先生と同じ王子様系とでもいおうか。
「勝さんも夏姉(なつねえ)も談話室にいるんだよー。病室だと“お静かにー”だからさ」
冬衛さんの屈託のない笑顔。
秋彦さんは夏生さんのことを「夏兄」と呼んでいるようだったけど、冬衛さんは違うらしい。
なぜだろう、そのことがなんとなく心にひっかかった。
ほどなくして、飲み物やおやつでいっぱいのレジ袋を持った彼が急ぎ足で合流した。
「ごめんっ。千佳さん、レイちゃん」
「アキもお疲れさま。たいへんだったわね」
「いや、まあその……うん」
(なんだろう? この歯切れの悪さが気になるのだけど?)
「あの、秋彦さん……?」
「千佳さん、本当にすまない……。けど、大変すぎて詳しい連絡どころじゃなくて」
「えっ」
「いや!そうじゃなくて!夏兄はぜんぜん大丈夫なんだよ!今だってほら、お腹空いたからって僕をコンビニにパシらせるくらい元気なんだから。ね?」
「そ、そうなんですね。なら、よかったですけど……」
夏生さんの無事がわかったのはよいとして、なんだかさっきからいまいち状況が見えない。
「じゃあみんなで談話室へ行こうかー。勝さんも夏姉も待ってるよー」
「行こう行こう!」
「ちょっと、レイちゃんも冬衛も病院では“お静かに”だよ」
秋彦さんにたしなめられて、麗華先生と冬衛さんはなんだかどこか嬉しそう。
「お静かにー」
「お静かにー」
ひそひそ声ではしゃぐふたりに、げんなりとため息をつく秋彦さん。
三人のそんなやりとりをどこか不思議な気持ちで眺めつつ、私はちょっと緊張した心持ちで、勝さんと夏生さんの待つ談話室へと向かった。
車から“そろそろ到着します”とメッセージを送っておいたので、彼がロビーに降りてきてくれているはず、だったのだけど――。
「やっほー、レイちゃん久しぶりー。あー!そちらは秋兄(あきにい)の彼女さんだー!」
最初に出迎えたくれたのは、彼ではなくて……。
「フユ、病院では“お静かに”でしょ?」
「あははー、ごめんごめん」
いきなり目の前で展開された“姉ちゃんと弟くん”のようなトーク。
(これって、いったい……)
「あの、麗華先生……???」
戸惑いながら、やや訴えるような目で麗華先生を見つめる。
「あらー、言ってなかったっけ? これ、末っ子の冬衛」
(ぜんっぜん聞いてませんけど!弟さんがいらしてるなんて!)
「はじめましてー。四男の冬衛でーす。秋兄がお世話になってまーす」
なんという、ゆるふわ男子……。
「こ、こちらこそはじめまして。秋彦さんとお付き合いさせていただいております、清水千佳と申します。よろしくお願いしますっ」
もう、秋彦さん何も言ってくれないし!
っていうか、本人いないし!
「秋兄はそこのコンビニで買い物中だよ。もう来ると思うんだけどねー」
冬衛さんは写真の印象以上に、明るくて社交的な感じがした。
長身で爽やかで、いわゆる男っぽいイケメンというより、キレイな男の人という感じ。
誤解を恐れずに言うなら、貴志先生と同じ王子様系とでもいおうか。
「勝さんも夏姉(なつねえ)も談話室にいるんだよー。病室だと“お静かにー”だからさ」
冬衛さんの屈託のない笑顔。
秋彦さんは夏生さんのことを「夏兄」と呼んでいるようだったけど、冬衛さんは違うらしい。
なぜだろう、そのことがなんとなく心にひっかかった。
ほどなくして、飲み物やおやつでいっぱいのレジ袋を持った彼が急ぎ足で合流した。
「ごめんっ。千佳さん、レイちゃん」
「アキもお疲れさま。たいへんだったわね」
「いや、まあその……うん」
(なんだろう? この歯切れの悪さが気になるのだけど?)
「あの、秋彦さん……?」
「千佳さん、本当にすまない……。けど、大変すぎて詳しい連絡どころじゃなくて」
「えっ」
「いや!そうじゃなくて!夏兄はぜんぜん大丈夫なんだよ!今だってほら、お腹空いたからって僕をコンビニにパシらせるくらい元気なんだから。ね?」
「そ、そうなんですね。なら、よかったですけど……」
夏生さんの無事がわかったのはよいとして、なんだかさっきからいまいち状況が見えない。
「じゃあみんなで談話室へ行こうかー。勝さんも夏姉も待ってるよー」
「行こう行こう!」
「ちょっと、レイちゃんも冬衛も病院では“お静かに”だよ」
秋彦さんにたしなめられて、麗華先生と冬衛さんはなんだかどこか嬉しそう。
「お静かにー」
「お静かにー」
ひそひそ声ではしゃぐふたりに、げんなりとため息をつく秋彦さん。
三人のそんなやりとりをどこか不思議な気持ちで眺めつつ、私はちょっと緊張した心持ちで、勝さんと夏生さんの待つ談話室へと向かった。



