ー……





5時間目の最中。





俺の前に座る祐大から何やら紙が回ってきた。






「えー、教科書の84ページを開いてください…」






5時間目は、国語の授業。





もう60歳を過ぎた国語だけを教えに来る非常勤のおじいちゃん先生がゆっくりとした喋りで授業をする。





だから眠い5時間目がさらに眠くなる。







俺はその眠い目を擦りながら祐大から回ってきた紙を拡げてみた。





あいつなんで今日は寝ないんだ?





毎週この時間は寝てるだろ…





カサカサッ





「なっ!!!!」






何故か何回も折られているこの紙を拡げて、ようやく現れたその文字に俺は声をあげざるを得なかった。





しかも反射的に席を立っていた。





先生が驚いて教科書から目線を俺に移した。






「佐久間君?どうかしましたか??」






やらかしたぁ。






クラスのみんな俺を見ている。






「い、いやぁなんでも…」






俺はそう言って静かに座ろうとした。






もうこれ以上みんなの注目を浴びるのはごめんだ。







そんな俺の思いとは裏腹に先生はにっこりと笑って、







「ちょうどいい、佐久間君、11行目から第二段落まで読んでください」







そう言った。






もう、






最悪。







ようやく全部読み終えて俺はドカッと席についた。





前の祐大を見ると、いつもみたいにぐっすり寝ている。





祐大から回ってきた紙には、例の罰ゲームが書いてあった。





俺はそれを書いた祐大をキッと睨む。





もちろん当の本人は寝てるし、後ろからの俺の目線には気付かないのだろう。






それが余計に腹立たしかった。








それよりもこの罰ゲームが問題だ。







そう思ってまた祐大の汚い字が書かれた罰ゲームの紙に視線を落とす。







こんなの絶対無理。







俺はできないぞ。